失敗を避けるための色選びの基礎知識

外壁塗装の色選びに関する基本的な知識を身につけておけば、上記のようなトラブルや失敗を上手に回避することができます。

近隣の町並みをよく観察する

街ごとにそれぞれ違った雰囲気がありますよね。まずは自分の住んでいる場所の街並みをよく観察してみましょう。どんな色で塗ればしっくりくるか、どんな色で塗っている家が街の景観を乱さず上手に個性を出しているか、いろんなアイデアが見つかるかもしれません。

白川郷の街並み

「サンプル」の役割を理解する

外壁塗装の色を選ぶときにはきっと「カラーサンプル(色見本)」を活用することになります。カラーサンプルは色選びになくてはならないものですが、あくまでサンプルですので完全に見本通りの色・仕上がりになることは期待せず、完成をイメージする上でのひとつの参考と考えましょう。またサンプルを閲覧するときには実際の自然の光に近い光の下で見るようにしましょう。

「面積効果」とは?

色選びにカラーサンプルを活用する場合は「面積効果」という言葉も覚えておきましょう。カラーサンプルは実際の塗料で塗られていますが、大きさはほんの数㎠です。これを外壁というより広い面積に実際に塗装してみると同じ塗料でもサンプルより薄い色に見えることがあります。この、同じ色でも面積が広ければ広いほど薄く見える現象を「面積効果」といいます。サンプルを参照する時はイメージする色よりも少し濃いめの色を選ぶと良いでしょう。

「好きな色」ではなく、「雰囲気・イメージ」を先行させる

誰しも好きな色、自分のテーマにしている色ってありますよね。でも、外壁塗装の色選びで失敗しないためには、色よりもまず「雰囲気・イメージ」を決める方が賢明かもしれません。シックでおちついたイメージ、ポップで明るいイメージ、ヨーロピアンな雰囲気、といった具合にまず雰囲気やイメージをはっきりさせるなら、どんな色で塗るとよいかが見えてきます。

色ごとの特徴

イメージが決まれば具体的な色選びのアイデアが見えてきます。ただ、色ごとの特徴や弱点もよく理解しておきましょう。

例えば赤や黄色は色あせしやすいですし、白は色あせしにくいものの汚れが目立ちやすいという弱点があります。もし塗りたい色が色あせしやすい場合にはグレードが高く耐用年数が長いラジカル塗料やフッ素塗料を、白系の汚れが目立ちやすい色を選ぶ場合にはセルフクリーン効果のある光触媒塗料(汚れが太陽光で分解され雨で洗い流されやすくなる塗料)を選ぶなら美しい外観を長持ちさせることが出来ます。

もし色の好みよりも耐久性を最重視したいという場合は、もっとも色あせしにくい青系を選ぶと良いでしょう。

カタログで「光沢保持率」をチェック!

使用する塗料の機能や見た目がどれほど長持ちするかもとても大切なところ。塗料ごとの「光沢保持率」がひとつの判断材料になります。

これは外壁塗料が大敵である「紫外線」に対してどれほど耐久力があるかをあらわす項目です。塗り立ての塗料の光沢を100%とした場合、そこにキセノンランプという特殊な照明を何時間あて続けると塗料の光沢が80%まで低下するかがグラフ表示されています。キセノンランプ300時間分の光が日本の内陸部の1年間の太陽光に等しいので、例えばグラフの表示が3,000時間で80%までで落ちていれば、その塗料の光沢はおよそ10年間持つ、と考えることができます。

法律・条例・ガイドラインにも注意

外壁塗装の色選びに法律なんて関係なさそうに思えるかもしれませんが、2005年に施行された景観法により「景観計画地区」内の建築物は色を塗り替える際は届け出が義務づけられています。ほかに土地の特色に合わせた条例が制定されている場合もあります。自分の住んでいる土地にどんな法律や条令が関係しているか、業者に相談してみると良いでしょう。

また、行政区ごとに「景観色彩ガイドライン」というものが作成されていることもあります。ガイドラインは建物の外観に関して法的に規制をかけるものではありませんが、土地や街ごとの色彩の特徴や景観を保つために推奨されている色などが明示されていますので一度目を通してみる価値はあります。